2021年1月8日

https://www.newsweekjapan.jp/kankimura/2021/01/post-18.php

国際社会には、ある国の裁判所の判決を通じて他国の主権に介入することを防ぐための「主権免除」の原則がある。

ソウル地裁は今回の判決で、慰安婦問題のような「反人道的不法行為」は、主権免除の対象にならないとした。つまり日本政府は、韓国国内の民事訴訟の管轄の範囲内にあると認めたことになる。

この判決が確定すると、元慰安婦のみならず、元徴用工や元軍人軍属も日本政府を相手に民事訴訟をすることが可能となってしまう。

日本政府は控訴することで、逆転勝利を目指すだけでなく、争う過程で、「反人道的不法行為」の範囲を明確にすることもできる。また、国際社会に日本政府の主張の正当性をアピールすることもできる。

国際法のトレンドは「主権免除」の範囲を限定的に考える方向になっている。国際法や国際慣習は、時代により大きく揺れ動く。だから日本はここで大きく主張し戦う必要があるだろう。