2021年1月11日

ブレイディみかこ『僕はイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー』


イギリス在住の著者と、中学生であるその息子に関するエッセイ。移民と在来人、エスタブリッシュと労働者階級、EU残留派と離脱派、あらゆる分断が発生しているイギリスのリアルな姿を「下から目線」で描いている。

①起きていることをありのままに書く、答えは書かない、というスタンスの読み物だと思う。

②息子さんが利発すぎる。発言や行動が優等生すぎる出木杉くんなので、感情移入しにくい。ただ、イギリスやヨーロッパの分断をテーマにした読み物では登場人物が必ず悲惨で疲弊していなければいけないというルールなんてどこにも無いし、これはオッケー。

③サッカーのワールドカップ中では、ナショナリズムというものに対しいつもとちょっと違った態度が生まれるという話も面白かった。自国のチームを熱心に応援するのはナショナリズムかと言えばそれはその通りなんだが、ただ自分の国のチームを応援したいというのは自然な感情であり、ナショナリズムがどうとかそんな事は全く気にならないという声もあり、確かにそりゃその通りかなと思った。

④この著者は心の底からキャメロン元大統領を軽蔑していることが再確認できた。